KnowRun

VARIATIONS

Si vis pacem, para bellum.

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「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」

ジョン・ウィック」シリーズには、私の見たかった全てが詰まっている。

殺し屋が集うホテル、裏社会を牛耳る巨大組織、情報通のホームレス、インチキ寿司屋(殺しの達人)、オーダーメイドの防弾スーツ…中学生の私が好きそうなものが全てある(今でも好きだが)。特に、作品が進むにつれてボロボロになっていくキアヌ・リーヴスは、ネットでお馴染みの「サッドキアヌ」を彷彿とさせる。

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このシリーズの魅力については他の識者が様々な媒体で書いてくれているので、もう少しどうでも良い部分(であり、好きな部分)について書いてみたい。

 

・なぜわざわざスーツを着るのか

この世界の殺し屋の皆さんは、仕事を行う際にスーツを着る。ご丁寧にネクタイまで締めている。動きにくいだろうし、同じような防弾・防刃性能の服(軍人が身につけるようなもの)と比較して高価であることは想像に難くない。ではなぜスーツを着るのか?街に溶け込むため、ではないだろう。スーツが高級品すぎて目立つし、そもそも着ている人たちが明らかに堅気ではないので意味がない。やはり、格好良いから、殺す相手への礼儀を尽くすため、くらいしか思いつかない。

・コンチネンタルホテルは一般客も泊まれるらしい

殺し屋が仕事の際に利用するコンチネンタルホテルであるが、どうやら殺し屋ではない人も泊まれるらしい。しかし、ロビーの時点で殺し屋がたくさんいることに気づかないものだろうか?まず、フロントの男(シャロン)からして危険である。礼儀正しくクールだが、伝説のジョン・ウィックに対して全く動じず、共闘もお手の物とする。私が一般客ならじゃらんポイントを無駄にしてでも帰るだろう。ちなみに、シャロンはジョンの犬を個人的に預かってくれるなど、やはり良い男である。

・ジョン愛されすぎ問題

引退して亡き妻が遺してくれた子犬と一緒に平和な生活を送っていたジョンは、いろいろあってまた裏社会に引き戻されるが、その際の人々の対応は大体オタクのそれである。シャロンは「お会いできて光栄です」と辛いことを言うし、ソムリエ(この人も戦えそうな見た目をしている)は「どうぞ楽しいパーティーを」などと言うし、ゼロ(寿司屋)は完全に推しに会えて興奮しているオタクだ。「大ファンなんだ」「今のところ期待通りだ」「ジョンは犬派?俺はネコ派!」「俺は(お前と)同じ殺しの達人!」「お前を殺すのは俺しかいない!」と片言の日本語で絶叫する様は、まさに地下アイドルの追っかけである。ジョンにとってはいい迷惑だ。

・画が格好良い

キアヌの名演(というか、限界への挑戦)にばかりフォーカスされがちだが、その後ろで映る背景の格好良さにも触れたい。雨の降りしきるニューヨーク、ローマの廃墟、広大な砂漠(と犬)など、目を拘束する力に溢れている。

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何のために用意されたのかわからない部屋なども多いが、全ては画のためである。この世界観を作ったチャド・スタエルスキデヴィッド・リーチ両名はこの映画で大きく名を上げたが、今後も楽しみである。特にデヴィッド・リーチは「アトミック・ブロンド」「デッドプール2」「ワイルド・スピード/スーパーコンボ」など私好みの映画を手がけており、現在注目の映画監督だ。

他にもあるが余白が足りないのでこれくらいにしておこう。コンチネンタルホテルトーキョーでは無料で夜鳴きそばが食べられるらしいね。