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プリンセス・プリンシパル 3話 感想 ベアトの声にそんな秘密が : あにばこ!

Look at the stars
Look how they shine for you
And everything you do
Yeah they were all yellow

Coldplay - Yellow

数年前、初めて夜行バスに乗って一人で旅をした。路上生活者の横を通り過ぎながらバス停に向かい、四列の安いバスに乗り込んだ。

バスが高速道路に入る頃、乗客は寝静まっていた。コールドプレイの「パラシューツ」を聴いていたのを覚えている。装飾の少ない、静かで綺麗なアルバムだった。それでいてアコースティック/エレキギターが前面で鳴り響いている。今のコールドプレイからは想像できない。カーテンに首を突っ込んで車窓から闇を眺めていると、なんとなく寂しくなった。その寂しさが嫌ではなかった。

何度か休憩があって、そのたびサービスエリアに降りた。大して飲めないのに自販機でブラックコーヒーを買ったりして、行き交う人とトラックを眺めていた。本当はそうじゃないのだけれど、みんな一人だ、と思った。そしてみんな目的地があり、ここはその途上なのだ、と当たり前のことを思った。最後の休憩でサービスエリアに降りるともう空は明るくなっていて、まるで"Yellow"のMVみたいだと感じられた。

その数年後、僕はまた夜行バスに乗って、パラシューツを聴いていた。当時と違うのは、僕は一人じゃなかった、ということだ。比喩ではなく、同行者がいた。この数年間でいろいろなことがあったような気がした。音楽シーンでいえば、彼らの曲に限らず、ギターが鳴らないことが多くなった。でも、パラシューツを聴くと何も変わらないように思えた。僕にとってパラシューツは基準点なのかもしれない。

新幹線や飛行機に乗るほうが速いし、時給換算したら夜行バスに乗るのは非合理的だけれど、それでもたまに夜行バスに乗りたくなる。そのときはまたパラシューツを聴いて、センチメンタルな気分になるのだろう。